『アンブシュア』『アパチュア』と一言で言っても、その形は様々で答えは一つではありません。人それぞれによって異なりますし、目指す音楽によっても違います。
今回は、フルートの初心者の方向けに自分に合ったアンブシュアの作り方・見つけ方として、ヒントになりそうなコツを紹介します。
*すでにフルートは始めているけど、アンブシュアが安定しない方は『アンブシュアを正しく矯正する方法・直し方』を参考にして下さい。
この記事の内容
アンブシュアとは
フルートを吹く時の唇の形のことを『アンブシュア』と言います。
初心者の方が初めてフルートを吹く場合、安易には音を出すことができないケースが非常に多いのですが、これはアンブシュアが安定していないことが大きな理由です。
良い音を作りだすために息をコントロールできるアンブシュアを作っていくことが大切です。
また唇の穴のことを『アパチュア』と言います。こちらもアンブシュア同様、良い音を出すための息のコントロールに欠かせないことですので、併せて述べていきます。
アンブシュアの役割
フルートの音色に関して最も難しいのはアンブシュアをコントロールすることと思いがちです。一番大切なのは息の使い方や身体の使い方であって、アンブシュアはその補助的役割であることを理解しておきましょう。
車で例えるならば息の使い方や身体の使い方がエンジンであるならば、アンブシュア、アパチュアはハンドルの役目なのです。
アンブシュアの作り方・コツ
高音域から低音域まで安定した音が出せるアンブシュアはどのように習得できるのでしょうか?
良いアンブシュアの作り方は、まず息の通り道をできるだけ小さく作り、細くて速い息を出す練習をします。
そこから少しずつ息の通り道(アパチュア)を大きくしていき、良い音が出る大きさ、感覚を見つけてください。
コツ1: アパチュアを狭める
息の出口であるアパチュアの形や位置も、息をコントロールするために重要です。
柔軟に息の量やスピードをコントロールできるように、唇の形を保ちましょう。
- アパチュアが大きすぎる → 大量に息を消費してしまう原因となり、『息が長く続かない』などの問題が発生してきます。
- アパチュアを狭める(小さくする) → より少ない息を高い圧力で出すことができるようになり、結果速い息となり高音域が安定します。
高音域が上手に出せないという方は、この方法でアパチュアの大きさを確認してみてください。
コツ2: 息を歌口のエッジに当てる
次のようなケースの場合、息がきちんと歌口のエッジに当たっていないことが考えられます。
- 息を吹き込んでも低音が音にならない
- 高音域が安定せず音が外れて低音が発音されてしまう
- 音が出しづらく、安定しない
歌口に吹き込む息の量やスピードを均一にし、正確な角度で息をエッジにあてることができれば、音色は安定してくるでしょう。
コツ3: 自分に合うアンブシュアを探す
多くの教本には正しいアンブシュアの作り方として、マウスピースと唇の位置が描かれた図解が掲載されていますが、人によってアンブシュアはそれぞれ違います。
一番は自分の感覚と耳を信じ、吹奏感良く、気持ちよく音が出る場所を探していくことが一番の上達の道です。
アンブシュアがずれないコツ
フルートは頭部管の歌口に唇をのせて息を吹き込むという奏法のため、何かによってその形が固定されていたりはしていませんので、状態としては大変不安定であります。
長時間演奏して、アンブシュアが汗などによって崩れてしまう場合は、次のポイントを意識してみましょう。
- マウスピースに唇をのせて、息を吹き込む際に唇が歌口の淵に触れる感覚を覚えてください。
- 視覚的に確認するには、鏡を使ってマウスピースに残る息の跡を確認してください。
- うまく当たっていればその後が歌口のところに逆三角形に残ります。
安定したアンブシュアを見つけるための練習方法
楽器を始めたばかりで、まだうまく音が出せないという方。できれば毎日30分は楽器に触れるようにし、自分の一番気持ちよく音が出せる場所を見つけてください。
フルートは音を出すのが難しい楽器で、毎日吹かなければ上達はありません。
自分に合うアンブシュアを見つける練習方法として、ロングトーンを使った練習方法が効果的です。
練習方法の例
- 中音域の出しやすい音でロングトーンをしながら、音が良く響く場所を見つけます。
- 気持ちよく音がならせる場所が見つかったら、よい響きを保ちながらしばらくロングトーンを続けます。
- これを毎日繰り返してください。
ロングトーンの練習効果は、演奏に必要な唇の周りの筋肉が備わり、息の角度やコントロールが柔軟にできる力が身につきます。
良い音が出るポイントを見つけることができたら、モイーズの『ソノリテについて』などの教本を使って音色を磨き上げていくことをお勧めします。
最後に一言
アンブシュアは、初心者の皆さんだけに限らず、どれだけ経験を積んだ奏者でも、常にチェックと研究心を怠ってはならない奥の深い課題です。
こういう形が正解です、というはっきりした答えがあるわけではなく、自分の感覚で一番良いアンブシュア、アパチュアを模索していくことに尽きます。
皆さんの良い音を目指して、ベストなアンブシュアを見つけてください。
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